この二本はTennisTopia SPEC-Ⅲです。
スペックはピッタリですが‥
写真上の方が少し重く感じるとのことで依頼されました。
元スペックに差があったから?
いいえ! 数値差はわずかでした。
316.2g 310mm 282kg:㎠
315.8g 312mm 284kg:㎠
グリップ内蔵ウェイトの量と位置に差があったからです。
グリップ内蔵ウェイトがハイブリッド型の場合、頻繁に起こりうる現象です。
ここで言うハイブリッドとは‥
一つは、FRP一体成型ウェイト。
一つは、ウレタン成型時に入れる調整用ウェイト。
奇しくもこの二本、カルテを紐解くと、仕込まれていた調整用ウェイトは7gの鉄板3枚づつでした。
しかしその位置が異なりました。
一方は中央部に2枚、上部に1枚。
他方は中央部に1枚、上部に2枚。
(mm単位で記録を残してあります)
なぜ調整用ウェイトの位置に差があったのか?
それはFRP一体成型ウェイトの位置に差があったから?
YESでもあり、NOでもあります。
中国の作業員が、精査したからかも知れません。
中国の作業員の、適当に適当が重なっただけかも知れません。
それほど、この静的バランスに仕上がるのなら、なんでこんな位置に⁈って時があります。
たまたま本件は、仕込まれていた調整用ウェイトが7g×3枚と重さと枚数は同じでした。
これが7g 5g 5gでも、7g 5g でも良かったわけです。
その差なら仕様の範囲内ですから。
ここでぴったり同じでも、さほどは意味がありません。
その後のウレタン成型の緻密さのバラツキで重量と静的バランスの差が発生しますから。
しかし作業員は心配していないはずです。
最後のつじつま合わせが控えていますから。
エンドからシリコンを注入したら済むのです。
事実この2本の内1本にシリコン注入もありました。
二本同時発注の場合、二本を対比させながらの作業を進めます。
二本個別発注の場合、カルテだけが頼りとなります。
百聞は一見に如かずはチューンナップにも当てはまります。
リアルタイムに内蔵ウェイトを見定めながらの二本同時発注のようには、二本個別発注はいきません。
ましてや本件は、一方がTTS-Ⅰα→II→Ⅲ、他方がTTS-Ⅱ→Ⅲの経歴がありました。
その時間差も影響しました。
通常、プロスタッフのTennisTopia SPECは‥
97や97CVは、調整用ウェイトの全摘&移設だけです。
97RFだけの限定仕様として、FRP一体成型ウェイトにアクセスします。
なぜならRFはTTS-Ⅲよりも元スペックが重いからです。
今回は、その術式を使うことで調整を成し遂げました。
本来なら不可能だった手術です。
今後は、オプションとして他機種への拡大を要しそうです。
本件は、わずか3gのFRP一体成型ウェイトの摘出と移設で劇的に振り感が変わりました。
この移設で静的バランスの数値上の変化は0.5mmです。
わずか0.5mmで振り感が変わったのです!!
増田の法則『バランスは数値じゃない。加重位置だ。』は0.5mmにも当てはまるわけです。
ただし、この術式は当店ご購入ラケット限定提供です。
なぜならDr.X級の難手術なので門戸は広げられません。
大門未知子も、週一以上に担ったら失敗するかも知れませんから。
TennisTopia SPECじゃなくても‥
2本の差の改修が必要になるかも知れないためにも‥
ラケットはテニストピアで買っておいてください。