ときどき、こんな質問やリクエストが寄せられます。
『縦50ポンド、横45ポンドで張ってもらえますか?』
これって『変形させてください』です‼︎
張り機によって、同じ張り機でも載せ方で、縦糸に対する適正な横糸のテンションの比率は大きく変わります。
縦横同じポンド数で原型に仕上がるラケットがあったとします。
※そんな簡単なラケットは滅多にないですが
それを縦50,横45ポンドで張ったとしたら?
張り機から外した瞬間「縦48,横46ポンドで張ったのと同じ」などとなります。
縦に縮んで横に膨らむからです。
ラケットって縦横のアンバランスで、簡単にゆがみます。
ほんとうに、簡単にゆがみます。
ラケットごとに、縦横比の設定すべて違います。その比率をコツコツと開拓することが各店に課せられた義務です。
原形通り張れる張り方を開発できたラケットでも、実行段階のちょっとしたコトでゆがみます。
開発できた→これが難題(安い張り機は剛性不足で不可能なラケットが多い)
ちょっとしたコト→載せ方,締め方,滑り(安い古い張り機は頻発),メンテナンス。
変形は「折れやすさ」をもたらします。
2mm以上の変形は寿命を大きく縮めます。
枕元に置いているだけで折れるかも?(ヨネックスに多い)
かるくコツンと当てただけで折れるかも?(どの機種にも多い)
変形は「本来の設計でない飛び」をもたらします。
横方向のたわみが抑制されて飛びが悪化することがほとんどです。
ボールを潰す人は、横方向のたわみ抑制を悪い張り方と気づかないですが。
先端を膨らませたら、先が良く飛ぶ例もありますが。
しかし、プロには、あえて変形させて本来の設計の飛びを変える人がいます。
また、メジャー大会のストリンガーは原形通りに張ろうと思っていません。
理由
①硬さの間違い防止を最優先して、間違うかも知れない横糸の加減をしない
②ストリンガーが入れ替わるから、横糸非操作を申し合わせる
③選手から横糸指定があることを前提に、勝手に操作しない
なので、あえて変形を望むか否かを論じるのも無意味です。
プロの多くは
折れても、ラケットがどんどん支給されます。
気に入らなくて即時張り替えても、ガットもどんどん支給されます。
お金持ちなら
折れても、ラケットをどんどん買えます。
気に入らなくても、どんどん即時張り替えできます。
プロでもお金持ちでもなかったら、横糸ポンド数指定はタブーです。
追伸
ハイブリッドは、早い周期で張り替えないと変形が進行する場合が多いです。
原形通り張った翌日、大きく変形している組み合わせもあります。
縦横の経時的な伸び方が違うからです。