当店はテンションロスの少ないガット張りを提供しています。
基本的に、支柱とサイドフィクサーの剛性の高い張り機を使用しています。
更に四点サポートを加え、支柱とサイドフィクサーの変形を抑制します。
なおかつ治具での滑りを最小限に抑えて張ります。
そのためテンションロスが極めて少ないです。
テンションロスの大きい店と比べたら、硬い場合は結構多いです。
「硬い」は「面圧が高い」と同義語です。
質の高い専門店なら、テンションと面圧はきっちりと相関関係があります。
当店は極めて高い相関関係を有します。
しかしあくまでも相対的にであり、テンションの絶対値と面圧の絶対値には、物理的には全く関係がありません。
面圧は、測定器具依存性が高いです。
高いと言うより、面圧の定義自体がまちまちです。
更に測定作業依存性も高いです。
当店のラテスト面圧測定器も測るたびに1や2は変わります。
更に、張上げ直後のストリングの応力緩和が急激であるため、測定時期依存性が高くなります。
張上り1分後に測るのと30分後に測るのとでは明らかに結果が違います。
翌日になればなおさらです。
応力緩和ってなに?
粘弾性材料が一定の変位のもとで応力を時間とともに変化させる現象。
これはクリープ変形に起因します。
クリープ変形ってなに?
一定の荷重(応力)下で時間とともに進行する永久変形。
ガット張りは、治具で固定した瞬間から、スパンが一定となるため、クリープ変形により応力が低下します。
それは簡単に想像できますよね。
テンションとは俗に張力と呼ばれています。
張力と呼ばれるから、あたかも張り上がりの硬さをイメージしてしまいます。
しかし「◯◯ポンド」は張力ではありません。
張力とは応力であり、荷重値/断面積です。
しかし「◯◯ポンド」は単なる荷重値です。
張りの作業中の、ある一瞬にストリング一本に掛かった荷重値です。
おもな面圧には二種類あります。
任意の面積に任意の荷重を加えた場合に生じる、たわみ量を測定したもの。
任意のたわみを生じさせるのに要する、任意の面積に加える荷重値を測定したもの。
他にも色々ありますが。
ここから簡単に説明します。
面圧さんとテンションくんは赤の他人です。
縁あって面圧さんはテンションくんに親しみを覚えて友達になりました。
しかし、あいまいな性格の面圧さんのことを、厳格な性格のテンションくんは嫌いです。
治具の滑りにより、テンションもあいまいな店は多いです。
そんな店なら面圧さんとテンションくんの縁談はうまく行くかも知れませんが。
しかし私は親として、この縁談には断固反対します。
性格が違い過ぎます。
ここらから現実論です。
店とお客さまや選手の理想の関係を提唱します。
店はテンションを面圧に忠実に反映して張ることに徹するべきです。
お客さまや選手はその面圧に感じるフィーリングからフィードパックして次回のテンションを指定するべきです。
お客さまや選手は、季節によるテンションと面圧の関係まで配慮するべきです。
しかし店は、相談を受けたなら、季節の違いによるテンションへのフィードバックについて助言するべきです。