私の指導は、実にアンバランスです。
アンバランスな練習こそがバランスの取れた試合を生むという信念からです。
シンプルな例を上げると
ストロークをトップスピンとフラットをまんべんなく使う選手に育てたいとき
両者を均等に練習してはなりません。
私は、人によって成長過程によって、トップスピンを禁じることがあります。
その反対もあります。
試合でフラット偏重のボレーミスの多い子に、フラットボレー 対 回転系ボレーを、50 対50 で練習させたら、確実にフラットのボレーミスが更に増えます。
そんな場合、回転系ボレーのみを要求することがあります。
それらを、どの成長過程で、どの程度に、どの期間、アンバランスにすべきかがコーチの采配の振りどころです。
その采配力を磨けた一つの要因が、個人レッスンです。
グループレッスンだけでは偏重練習は不可能ですから。
私は、育成ジュニアには個人レッスンを週3回以上組み込みます。
もう一つは試合分析です。
低料金に設定しているとは言え、私を多くの試合に帯同してくれた、過去と今の父兄に心から感謝します。
小学低学年のサテライトから全国大会まで、無数とも言える経験は私の宝です。
対戦相手, その日の調子, メンタルの変化により様々な様相を呈するからです。
この個人レッスンと試合分析のサイクルを通じた評価システムの確立が、私のアンバランスな練習を支えています。
そのアンバランスはシンプルな技術に留まりません。
戦術や戦略にも当てはめます。
個々の微細なショットにも当てはめます。
『このやり方もあります。あのやり方もあります。』
『みんなバランスよく練習しましょう。』
って指導者を拓郎に呼ばせたら「見出し人間」でしょう。
私は「見出しコーチ」には選手は育てられないと確信しています。
トピア打ちと言われるものも、私の評価システムの現れかも知れません。
最終的には、バランスの取れたプレイスタイルを創造していきます。
しかしその課程の真っ只中で移籍した過去のジュニアの中には、単なる偏屈なコーチだったと思ったケースもあったはずです。