安鳩方にとって3月31日は小2から通い詰めた
大阪ジュニアの卒業式です。
SFの相手は、小学生時代、大阪関西のFで数えきれず対戦した、ちえチャンでした。
1st.セット、英姿颯爽の5-1時点で持った私の優勝の確信は
安鳩方の突然のミス急増と、ちえチャンの攻勢開始で追いつかれ
タイブレ5-2リードを守れずに1st.セットを落とした瞬間
SFでの、リタイアor 6-7, 0-6惨敗の予感にすり替わりました。
運動連鎖を磨き抜いている安鳩方のテニスは高性能な反面
足腰の異変に敏感に狂い出すことを知っていたからです。
しかし『今日は絶対リタイアしたくない』の一心が安鳩方を突き動かしました。
2nd.セット以降、安鳩方の対戦相手はちえチャンではなく
筋力未回復のために悲鳴を上げ始めた「自分の足」となりました。
それはガッカリするミスを突発させ、遠い球を見送らせる難敵でした。
手打ちモードに切り替え、ゲリラ的に全開ショットを放つ、安鳩方の作戦は
気がつけば 6-7, 6-4, 7-5の勝利をもたらしていました。
心配と祝福に、ママとチームメイトが駆けつけました。
勝利の見えなくなった遠い道をよくぞ頑張り抜きました。
Fは、私には普段の安鳩方になら勝たせる自信のある井上さんでした。
しかし安鳩方は、開始早々もうダメかなと考えたそうです。
ところが15-40からもらえた恵みの第1ゲームと
入れるだけのファーストサーブにも関わらずもたらされるキープとが
安鳩方の心を諦めの淵から引き戻しました。
足の危機に発動した強いメンタルは
いくつもの「出来ない理由」を「出来る理由」に変えていきました。
容赦ないドロッブショット攻勢に苦しんだ故に、心掛けた深い球が
相手の強打を封じ、遠い球に追いつく時間をもたらしました。
緩い球しか打てないが故に、心がけた粘りが
スピンプレーヤーの相手には強打しづらくエラーを誘いました。
踏ん張れないが故に、機を選んで放つ強打が
相手のノーマークを誘い、ウイナーとなりました。
6-3,6-3で、勝ちました。
SFからFと、奇跡的優勝でした。
リタイアしたくない一心の安鳩方の姿は
故障した飛行機を必至で操るパイロットに見えました。
地面スレスレの低空飛行を奇跡的に生還させただけでなく
金メダルにまでたどり着きました。
コーチと安鳩方の二人三脚が報われたって感じの絵ですが
カメラを構えている安鳩方ママとの三人四脚の成果です。
いいえ、この場にいない方を含む多くの方々の支援の成果です。
単では、中2の膝内視鏡手術から5年ぶりの大阪での優勝でした。
ランキングは一位に返り咲いていましたが無冠で終わりたくなかった優勝でした。
会場を後にする際、しみじみ言った安鳩方ママの言葉
『12,14歳での優勝より18歳での優勝が一番嬉しいっ』 は真理です。
小中学生キング・クイーンが、16,18歳で普通の人となるジュニアが結構いますから。
私と安鳩方からのメッセージでこの記事を締め繰ります。
『どん底に落ちたとしても、決して諦めないで下さい』