G360スピードの吊るしをご使用中のお客様からアドバイス付試打を承り、本命のG360+スピードMPでTTS-Ⅲを2本承ることになりました。
お渡しした後に頂戴したご感想は長くはないのですが、中身の濃い要素を含んでおります。
ご本人の承諾のうえ引用させて頂き、その濃い要素について記します。
《以下引用》
先日送って頂いたスピードMPですが、今日使ってみたところとても使いやすく、想像以上の仕上がりでした。2本ともガット以外は全く違いは感じませんでした。邪魔に感じるような重みはなく、以前より心地よい打球感でした。面が安定するようになったのか、思ったところに飛ばしやすく、何よりサーブが劇的にコントロールしやすくなりました。ガット張りもさすがでした。素晴らしい仕事でした。ありがとうございます。
《以上引用》
このチューンナップにおける準備は万端でした。
近い元スペックの2本を選定できました。
FRP一体成型ウェイトの摘出もご一任頂きました。
しかし取り掛かってみると問題にぶつかりました。
仕上がり予測が一方の静的バランスがどうしても2mm高くなりそうでした。
原因はFRP一体成型ウェイトの位置が結構違うからです。
ここからがFRP一体成型ウェイトと調整用ウェイトとの位置と量との勝負となります。
当初必要無いとお答えしていたのですが、一方のFRP一体成型ウェイトを摘出することにしました。
しかし全摘したその量は意外に少なく、なお1mm差が残りそうでした。
低い方の静的バランスを1mm上げることにしました。
しかしそれは本来なら加重したくない位置への加重の要求してきます。
「ここには加重したくないんだよな‥‥」と躊躇しました。
目視できる加重と目視できない加重とを頭の中で重ね合わせます。
更に摘出跡の修復に費やした加重量を細かく算出しました。
するとその位置と量は妥当性が判りました。
躊躇を完全に払拭して加重しました。
この微妙なさじ加減は、行程を克明にに記録したカルテあってのことです。
最終的に、主たる加重量と加重位置はピッタリ合い、数値的にもピッタリ合いました。
このチューンナップの過程が、このお客様の「2本ともガット以外は全く違いは感じませんでした。邪魔に感じるような重みはなく」の一行につながっているのです。