写真のスピードMPレジェンド2本は別のお客様のラケットです。
そのことはすぐ見て取れるはずです。
右利き用と左利き用であることで。
しかし共通点があります。
○2本目である
○1本目を大変気に入って頂いた
○入荷待ちであった
2025年初ロットのスピードMPは異様でした。
グリップ内加重の位置がいつもと違います。
こんな位置に⁉︎
気まぐれ位置への加重はメーカーの常套手段です。
なぜそれが許されるのか⁇
気まぐれでも、静的バランスが数mmずれるだけですから。
気まぐれ加重でも次のメーカー仕様に収まります。
重量は15gの幅。
静的バランスは15mmの幅。
この幅はウッド時代を知っている方にとっては当たり前のバラツキです。
木ですから比重のバラツキは当然!
しかしFRP &発砲ウレタンでも同じことです。
だから真剣な専門店は多数在庫を積むのです。
チューンナップの結果‥
仕上がりが前納品より2mm先重になりました。
位置さえ大差無ければ2mmは無視できます。
『静的バランスは数値ではなく位置だ』
私はこの法則をブログで何度も唱えています。
本件は要因が半分位置なので無視できません。
持ち感,振り感に不快な重さがありました。
この不快さは吊るしでも同じでしょう。
この不快さは摘出と移設をしているTTSは吊るしよりマシです。
マシながら、犯人はウェイト摘出跡の補強です。
次の改善策のもとカルテの途中から修正しました。
①摘出跡の補強の減量
②グリップ内の質量バランスのイーブン化
①について
通常、私はここを過剰品質に補強しているので減量可能です。
約3g減量できました。
これだけでも持ち感,振り感は改善できます。
②について
一本については念を入れて②もやっておきました。
他方は前納品は非摘出仕様なので②はやり過ぎとなるため実施しません。
実施に当たってはこんな施行もしました。
HEADのテニスセンサーは廃盤となって久しいです。
しかし蓋はテニスセンサーと同じ6.9gのままです。
それをカットして、尚且つ6.9gに仕上げました。
FRPエンド端加重による空間狭小化への対応です。
テニスセンサーを使わないので蓋の重さを揃える必要性は0です。
滅多に開けないので美観の必要性も低いです。
しかし「中も美しく」はきっちり仕事をしたい職人の心意気です。
非公開ですがフレーム側も美しく仕上げています。
結果、ぴったり静的バラスは揃いました。
持感,振り感が不快な先重感も解消しました。