E ZONE98TTS-ⅢのTTS-Ⅱへのスペックダウンのご相談を承りました。
ご本人の承諾のうえ、引用させて頂きます。
《以下引用1》
約2か月使いました(基本的にダブルスのみ)が、自身の技量,パワー不足のため重さ,硬さを感じ、使えこなせていません。
ストローク•サーブともちゃんと打てる時はボールの威力も素晴らしく、またボレーに関してもキレを感じるのですが、再現性が高くなく威力以上にミスの確率の方が高い状態です。
どのショットにおいても少しズレが生じてしまうため、軌道のコントロールが難しいと感じています。
そのためネットの白帯にかかる、またはボール数個分のバックアウト•サイドアウトが目立ちます。
またサーブでは1stが入るとフリーポイントを取れる確率が上がったように感じます。
しかしそれ以上に1stサーブインの確率が下がりました。
自分のテニスの組み立てとしては、あまり強打せず相手のボールに合わせて打つディフェンシブなテニスです。
それとフットワークを活かし、カンターで凌ぐことが多いです。
その際トップスピンロブ、ショートクロス(フォア•バック)、充分タメを作り相手の動きを止めてフォア•バックの順クロスを決めることが生命線となるんですが、前述のようなミスが出てしまうので苦戦しています。
具体的には重さを感じるため操作が難しく、速いボールは差し込まれます。
緩いボールはヘッドが先に走るためか先端に当たるフレームショットが増えました。
元々ボールの威力がない相手が苦手です。
以前オーダーしたピュアストライクとのSPEC比較では、0.2g増、1mm増、SW同じとわずかな違いですが、実感値は相当な違いを感じています。
同封のレッドテープを貼り付けての微調整もやりましたが改善しません。
そもそも自分のテニススタイルに合ってなかったのかもしれませんが、SPECを変えることで改善できることもあるかなと思い、ご相談させていただきました。
ちなみに大会等に出場しているわけではなく、あくまでテニスオフで楽しんでいる程度です。
中級程度のオフでは高確率で勝つことができますが、
本当の中上級者相手では勝ち越すことは難しい位のレベルです。
《以上引用1》
ピュアストライクツアーとの基本性能の差であることが頭に浮かびます。
ピュアストライクツアーは丸い故に先端部の飛びが良好ですが、E ZONEは角型を原因として先端部の飛びが悪いです。
「良い時もあるけれどショットの再現性が悪い」とは、ヨネックス特有の先端ヒット時の失速ではないかと想像します。
YONEXは角型によってスウィートエリアが先端まで拡大されていると思われています。
しかし実際は反対で、角型は丸型より先端の飛びは良くないです。
YONEXは全機種、少し根元寄りで打つ必要があり、根元寄りで打っていれば独特のホールド感を感じます。
しかしほんの少しトップ寄りで打つと、不快な振動ととともに失速を感じます。
YONEXもその欠点は自覚していて、昔より少しづつ少しづつ丸く変化させてきました。
その欠点はTTS-Ⅲ化で随分改されますが、ピュアストライクツアーと比べたら気になる部分です。
もしそうならスペックダウンは逆効果となります。
症状は低静的バランス症候群そのものです。
重さを感じるとのことでしたが、あえてフェイス加重をご提案しました。
最近同梱することにしている微調整用レッドテーブの2倍の量です。
それに対するお客様のご回答は‥
《以下引用2》
確かに打感が柔らかくなり、また弾きが少し良くなったように感じました。
但し本日はかなり暖かったのと使用ボールが柔らかかったことも影響したのかもしれません。
同一条件での試打ではないので、正確な比較ではありません。
あくまで感覚的なものです。
最初はいいかもと思ったのですが、時間の経過(1時間半過ぎ位から)とともに重さが気になり、そのためか当たりが悪くなってしまいました
その後2時間強程、久しぶりにピュアストライクツアーを使用したのですが、改めてこちらのラケットの良さを感じました。
しかし改めて増田様の私の想像の斜め上をいくご提案に驚きました。
ラケットの重さ特に先重を感じていたところにさらにヘッド部分に加重してみるとは!
もう少し全体が軽く感じるような状況になれば(あるいは今回のものに慣れれば)、少しは使いこなせるようになるのかもしれません。
《以上引用2》
やはり低静的バランス症候群でした。
しかしそんなに重い訳ないんだが⁇
やはりラケットをお送り頂くことにしました。
ラケットが届いて、見てすぐに不調の原因が判りました。
打球テストもしましたが、不快な打球感でした。
悪さをしていたのは、エンド端のテーピングと張り替えでした。
テーピングは結構重く、TennisTopiaSpecを台無しにする激変をもたらします。
更に2g位軽いストリングへの張り替えにより、スウィングウェイトが4kg:㎠低下していました。
私も先日、愛用のキルシュバウムをプラズマピュア118からプロツアーコントロール113に張り替えた直後のレッスンで、打感の良さに感動した次の瞬間、振り出しのタイミングに絶不調が襲ってきました。
そのレッスンを根性で乗り切り、すぐに加重しました。
0.5mmと侮りは禁物と解ってはいましたが。
忙しさに、まさに、紺屋の白袴です。
このお客様は‥
商品を手にしてすぐのテーピング貼りが低静的バランス症候群を発症させて、張り替えで更にそれが悪化させたわけです。
より先端が飛ぶように、スウィングウェイト不変調整での、よりトップ寄りのフェイス加重を実施しました。
重量不変調整での、段差なくエンドを膨らませる加工も実施しました。
張り上がりの打球テストの結果は、お預かり時よりずいぶん良くなっていました。
キルシュバウムの名誉のために付記しておきます。
このポリ、1.13mmという絶妙な細さで、弾きがめちゃ良くて、スピンもよく掛かり、打球感もソフトです。
ポリファンで、スウィングウェイトを高くしたくない方にはお薦めです。
※TennisTopiaSpecをこれに類する極細ゲージに張り替える際はフェイストップへの加重は必須です。